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AI選挙 in 2050

体験型プロトタイプを通じ、AIによる政治統治の未来をスペキュラティブ・デザインとして問題提起

key shot

制作期間

2021.10 - 2021.11

担当領域

デスクトップリサーチ

シナリオプラニング

プロトタイピング

ツール

Adobe Premiere Pro

Synthesia
[映像生成AI]

チーム

Alexis Arias Betancourt

アドバイザー

Laura Forlano

概要

AIの進化が注目される中で、「シンギュラリティが訪れ、アルゴリズムによる統治が行われる未来に人類がどう相対するのか」をテーマに自主制作としてスペキュラティブデザインを実施

取組み

「2050年にAIが地球政府の大統領に立候補する」長期未来のシナリオを策定。リサーチや過去のSF作品を基に、人間による現代政治の課題やデータ統治の問題点などの観点を織り込み

プロトタイプでは、AI主導の地球政府の大統領選に参加する「未来体験」をデザイン。生成AIを用いて架空の立候補者の演説映像を作成し、スローガンや選挙グッズを準備しキャンペーンの場を醸成。デモ当日、参加者にはロールプレイングを依頼し、体験終了後に議論を促すことで参加者同士の意見交換を喚起

CONTEXT

自動運転と都市環境の間の関係を研究する建築の博士課程の学生であるAlexisとコンピュータを使ったデザインを学ぶ学生である私は、人工知能が都市生活や社会にどのような影響を与えるかに興味があるため、このトピックを選択。

大量のデータをベースに現実世界を再現しシミュレーションを行うデジタルツインや地球規模のコンピュータを用い環境問題に対処しようとするPlanetory-scale computationといった概念が生まれ実現に向かって研究が進む中、実現した先の社会への影響について未来体験を通して考えてもらうことは非常に興味深く、意義のあることではないか。

DESIGN QUESTION

VUCAの時代に、情報処理能力に限界のある人類は大規模で複雑な問題への対処を諦め、コンピュータに委ねるべきなのか?

「AIのAIによる人類のための政治」が実現した未来を人類は受け入れるべきなのか?

上記の問いを考えてもらうためにスペキュラティブデザインを実施

SOLUTION

生成AIを用いた体験型プロトタイプによる未来シナリオの具現化

生成AIを駆使した架空のAI候補者による演説映像や、旗・ポスターなどの物理的なアイテムを組合わせ、以下のように「AIが地球政府の大統領選に立候補し選挙キャンペーンを行う未来体験」を演出。参加者にはキャンペーンに参加するロールプレイングを依頼。Alexisと私は選挙ボランティア役として出演。

体験後は「AIに政治を委ねるべきか」という本来の目的である問いを参加者に投げかけ議論をしてもらい、我々はファシリテーションを実施

体験の流れ

選挙スローガンが張られた部屋に参加者を招き、選挙グッズを配布

プロジェクターを用いAI・企業連合の政党メッセージ・AI候補者による冒頭挨拶を放送

動画内のフリに合わせて、AIからのパーソナライズメッセージとして各参加者に動画リンク付きのメールを送付

事前アンケートを基に参加者の関心分野を分類し、関心分野に近い 閣僚候補からの公約演説を参加者の各PC・携帯で再生

締めの演説

SCENARIO PLANNING

ディープテックの社会的インパクトを考慮したシナリオプラニング

AIによる課題解決のメリットを織り込むとともに、アルゴリズムに含まれるバイアスやユーザーが提供するデータの所有権の問題、人間はAIに取って代わられるべきかといったAI・Web3.0などで議論されていた観点を付与し、SF要素も加えることで、新技術が社会に与える正負の影響両面を考慮できるよう工夫。

参考文献

参考事例

hyper reality Hyper Reality by Keiichi Matsuda AI influencer

AI Influencer

Metal Gear Solid

Metal Gear Solid

未来シナリオで構想したAI・企業による政治統治構造。GAFAMを始めとする大手テック企業の創業者達を模したAIが意思決定を司り、大企業が各省庁を運営。シリコンバレーや民間運営への信仰を皮肉的に織り込むことで、参加者が自問自答しやすい形に。

cabinet

REFLECTION

  • 物理的なアセットは体験の「場」の醸成に寄与し、観客は自然とAI候補者の選挙キャンペーンに参加するサポーターの役割を果たすよう後押し
  • パーソナライズされたビデオは、AIの技術的特徴を体験に変換し参加者が政治キャンペーンの一部であるかのように感じさせるのに効果的
  • 人間と機械の典型的な対立ではなく、異なる視点を代表するために異なるAI候補者を使用するのはどうでしょうか?という参加者からのフィードバックあり
  • 次へのステップとして政治的ビジョンと政治キャンペーンの体験をより未来的で、より探究的にするために何ができるかを考えることが鍵になる
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